レインブーツを考える
肝要な点は、人口問題を解決しないとすれば、皆さんが環境保護庁で、また人間として関わっているその他の問題は満足なかたちで処理できるとは思えないことです。
人口に関して少しお話したい。
そのなかで、私の仲間たちと私が何故人口問題に関わっているか、お分かり頂けると思います。
人類の起源は400万年前に遡ると考えられます。
この時期、ラシーより少し前ですが、脳の小さい原人が初めて直立するようになりました。
(私は、人類の起源はその時期に遡ると考えています。
皆さんが脳の小さい原人を人間と考えないとすれば、多数の連邦議会議員は人類に含まれないことになります。
)人口が数百から1923年5月29日に正確に20億に達するまで、約400万年かかりました。
私はこの日に生まれました。
私が「人口爆弾」を著した1968年、つまり36年後人口は35億になりました。
その20年後の現在、1988年、52億に達しようとしています。
「人口爆弾」を著したのはつい昨日のことのように思い起こします。
それ以降、南北戦争の時期の世界人口より大きな人口が加わりました。
「人口爆弾」を著して以降、現在から10年以内までの期間に、私の誕生時より多い人口が加わるでしよう。
恐らく過去数十年に地球上に起きた重要な問題は、人口の異常な成長です。
人口は、環境問題の主な駆動力だと感じる方もおられるでしょう。
がっかりするのは、人口抑制の効果が現れるまでに必要な遅延時間が長いことです。
死亡率の自然増加より、むしろ出生率の制限を通じて人道的に人口を抑制する必要があるとすれば、私たちはきわめてすばやく、効果的に行動すべきでしょう。
このことに関して誤りを犯さないでください。
私の仲間は誰1人、将来半世紀以内に人口爆発が終わるとは考えていません。
現在残っている唯1の問題は、どういう手段で人口を抑制するのかということです。
私たちが出生率の制限で劇的に前進すれば人口爆発は終わるでしょうか。
もしくは、大規模な核戦争に続く核の冬ないしは将来数十年にわたって、現在の環境の傾向を通じて起きる影響のいずれかに伴う死亡率の劇的上昇があれば、人口爆発は終わるでしょう。
それは核の冬と同じ結果をもたらすでしょう。
人口増加の勢いに関する感触を得るため、インドで起きる可能性のあることについて考察しましょう。
楽観的に見て、インドの合計出生率(生涯にわたる婦人1人当たり平均両性誕生児数)が、将来35年間に現在の4・5人から2・2人に減ると仮定しましょう。
この出生率の場合(生殖年齢に達する前に死亡する誕生児の数を考慮にいれる)、婦人は各自、自分自身を次世代と入れ替えるだけに終わります。
ある理由で、将来約35年にわたってこの奇跡が起きた場合でも、インドの人口は、現在の約8億1500万ー正確な数は誰にも分かりません―から次世紀末約20億に達するまで依然として増加し続けるでしょう。
これは、インドで実現できるもっとも楽観的なシナリオです。
従って、次世紀末に於けるインドの人口は私の誕生時の地球人口と同程度になるでしょう。
人口はきわめて急速に増大し、人口増加は長期にわたって継続するはずです。
しかし、偏屈な経済専門家ないし偏屈でない人に聞いても、何故人口の形勢が変わるのかまったく分かりません。
無論、経済専門家たちは皆、標準的な経済学教科書を使って訓練を受けてきました。
これらの教科書は、外部供給がまったくない場合でも、国民総生産をつくりだしてきました。
経済専門家はけっして物理学もしくは生物学を研究しません。
彼らは永続的な運動と奇跡を信仰しています。
人口は永久に増加するか、もしくは少なくとも人口増加の限度は、彼らが現在心配する必要がないほどはるか遠くにあると考えています。
これは正しい観点でしょうか。
無論そうではありません。
非常にばかげています。
経済専門家が「究極の資源」と呼ぶ場合がある物を先ず取り上げて、人口増加の限度に関してお話しましょう。
無論これは食料です。
思い起こしてください……私たちは、人口そのものだけでなく、自分たちの扶養体系に対する人口の影響にも関心をもっています。
食料資源、環境、その他に対する人口の影響です。
皆さんが動物やその環境に関して議論する際、先ず考えることは当然食料です。
現在、人口は、世界記録つまり過去最高の増加数を示し、年間およそ9000万人増加しています。
3年毎に新たな合衆国に相当する人口が加わるよりも大きな増加率です。
食料生産量は維持されるでしょうか。
長期間、十分な食料生産量が確保されると予測してきたのは奇妙なことです。
これは真実ではありません。
各年、1000万台の人口が餓死しています。
食料生産は、1985年にピークに達しました。
以降絶対量は減少してきました。
アフリカでは1967年以降、またラテン・アメリカでは1983年以降、1人当たり食料生産量が減少してきました。
私が最近入手したもっとも驚くべき数字は、ワールドウォッチ研究所のR・B氏から入手したものです。
彼の推測が正しいとすれば(彼の以前の推測値は正しかった)、合衆国では、1988年に、史上初めて、穀物の消費量が生産量を上回るようになります。
現在、北米は人類の食料基地だと考えられていることを思い起こしてください。
おおむね100カ国の存続が北米の食料輸出に依存しています。
大量の穀物在庫があるので輸出は今年も続くでしょう。
しかし、それは現在、この数字は正しいでしょうか。
Bラウン大学の1グループは、最近十分な食料供給量に関する研究を行いました。
Sタンフォード大学の私たちのグループがその数字を点検した結果、おおむね正しいことが分かりました。
皆さんは分配問題はあるが、人口問題はないという議論を耳にされたと思います。
さて、食料をすべて平等に分配し、穀物を動物の餌にせず、皆が基本的に菜食に戻り、電子レンジ給餌で飼育した牛肉、残飯で飼育した豚肉、魚肉をほんの少し補助的に摂取する場合、どの程度の人口が扶養できるでしょうか。
答は約60億です。
現在、世界人口は52億です。
つまり、私たちには多くの策を弄する余地は残されていません。
人口が1つの限度に達するまでの最大扶養人口の許容増加余地は、8億〜10年間の増加幅より小さいーに過ぎないからです。
この予測の根拠は1985年の食料生産量で、約10%小さい今年のではありません。
1985年の生産水準に戻るのはかなり容易なはずですが、その場合食料価格が上昇し、食料供給量も増え、約60億の菜食人口を扶養できるようになります。
しかし、1般の人々が南米型の食事―カロリーの約1.5%は動物性の食品ーをとる場合、最大扶養人口は約40億です。
つまり、現在、約12億の人口がまったく食料を入手できなくなるでしょう。
また、人々が健康に良い北米型の食事―カロリーの約35%は動物性の食品ーをとる場合最大扶養人口は約2.5億で現在の人口の半分以下になります。
さて、楽観論者は、私たちがなんとか奇跡を実現し、食料を増産しているから悩む必要はないと主張するでしょう。
時間の経過に伴って、食料を増産するだけで良いという訳です。
しかし、食料生産にはいくつか絶対的な限界があります。
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